第53章 -バレンタイン-
旅行から帰ってきて、
またいつも通りに過ごしていた。
あれからひかりも…いつも通りだ。
残り約2ヶ月…笑顔で過ごそう…
そうひかりと決めていた。
2月に入ったが、
相変わらず受験予定のないオレは、
たまに午前中だけ学校に行くが、
基本的に平日は、露木家に1人だった。
ガチャ…
「ただいまーー!」
だいたい最初に帰ってくるのはひかり。
オレはいつもこのひかりの声に安心して、
ひかりを玄関まで出迎える。
「おう…おかえり…って…桃井⁈」
「あーー‼︎ほんとに虹村さんだぁ!
おじゃましまーす!
なんだか虹村さん、久しぶりですね!」
「おい‼︎ひかり…」
オレは思わずひかりを見た。
学校側にはもちろん
オレがひかりの家に住むコトは
伝えてあったが、
周りのヤツには特に言っていない。
ひかりはもう卒業しているし、
知り合いの家…ってコトになっている。
「さつきちゃんなら大丈夫よ。
それに、さつきちゃんには
お正月にバレちゃってたの。」
「は⁈」
「だって、お2人の雰囲気が全然違うし、
すぐわかっちゃいました♪」
思わず桃井を見ると、
桃井はニッコリ微笑んで、
ペロリと舌を出した。
初詣の時、オレらがあまりにも
くっついていたコト、
(そんなつもりねーんだけど…)
ゲームの後も、
オレがひかりにくっついて
神主さんちに行ったので、
桃井はなんとなく察知していたらしい。
はぁぁ…。
桃井の観察力には恐れ入る。
「で?今日はどうしたんだよ?」
「あ!そうだった‼︎
とりあえずあがってあがって!
さっそく始めよう!」
…?始める?