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〜虹村 修造のお話〜

第52章 -旅行-





……


………



はぁ…やっぱり寝れねぇ…。


枕元の時計を見ると、深夜2時…


いつもならとっくに寝てんのに、
ひかりが隣の部屋にいると思うと、
なかなか寝付けなかった。


年末から、ひかりとひとつ屋根の下で
一緒に暮らしてるっつぅのに。





ガラ………




…っ⁈




突然ふすまの開く音がして、
オレは思わずふすまの方を向く。


「ひかり⁈」


「あ…ごめん…起こしちゃったよね。」


「いや、起きてたから。どうした?」


「しゅ……ぞ……」


小さな声でオレの名前を呼ぶひかりが
少しずつこっちに近づいてきた。


「…っ⁈ひかり⁈泣いてんのか⁈」


オレはベッドのライトを付けて
起き上がり、ベッドの横にきた
ひかりの手を握った。


「え…?あ…ほんとだ…」


ひかりは自分の涙に
気付いていなかったようで、
慌てて涙を拭おうとする。


「どうした?」


オレはあいてるほうの手で、
ひかりの涙を拭ってやる。


「修造…ごめ…ヒッ…ク…なさい…
こんなこと…ヒッ…言っちゃいけないって…
わかってるのに…でも…」


せっかく涙を拭っているのに、
ひかりは泣きながら話す。


「どうしたんだよ?」


オレはひかりを抱き締めて、
ひかりの耳元に囁く。


「さ…さみしい…さみしいよぅ…修造…」


泣きじゃくりながら、
ひかりはオレにギュッと抱きついてきた。


「…‼︎ひかり‼︎」


オレはひかりを強く抱き締め、
ひかりをベッドの中に迎え入れた。


「…‼︎修造…っ‼︎
ごめ…ごめんね…困らせて…」


ひかりの頭を撫でて、
オレはもう1度ひかりを抱き締めた。


「バーカ!
言いたいこと言わないで、
ガマンされるほうが困るっつぅの。」


力のかぎりでひかりを抱き締める。




「親父の病気がよくなったら…
ぜってぇ…日本に戻ってくるから。」





オレたちは、お互いの温もりを
確かめ合うように、
抱き合ったまま眠りについた。


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