第51章 -巫女さんのことば-
ひかりは不思議そうにしていたが、
まっすぐかんなちゃんの目を見て、
もう1度答えた。
かんなちゃんはそれを聞くと、
意を決したようにオレのトコに来た。
かんな
「あのね…優しい霊がいる。」
虹村
「…っ⁈」
オレは何を言えばいいのかわからず、
ジッとかんなちゃんを見つめた。
たしかに…
ひかりからの予備知識がなければ、
怖くはないが、
オレも信じなかったかもしれない。
でも、かんなちゃんは、
まっすぐ真剣な目をしていた。
オレはかんなちゃんを
信じることに決めた。
虹村
「…おう。」
かんな
「おうちに…病気の人…いる?」
虹/ひ
「…⁈」
オレはかんなちゃんに
親父の話をしてないし、
ひかりだって
そんなこと話す時間なかっただろう。
オレとひかりは思わず顔を見合わせた。
虹村
「いる…親父…。」
オレがかんなちゃんに告げると、
かんなちゃんは目を見開いていたが、
驚いていたわけではないようで、
そのままことばを続けた。
かんな
「優しい霊がいるから守ってくれてる。
治癒の力が強いの。
だから…きっとよくなるよ。」
そう言うとかんなちゃんは、
そのまま部屋に戻ってしまった。
オレはかんなちゃんの思わぬことばに
しばらく何も言えず、
ただただポカンとしてしまった。
ひかり
「かんなちゃん…
ずっと修造に伝えたかったんだね。」
ひかりがオレの手をギュッとして、
沈黙を破った。
虹村
「…ずっと?」
ひかり
「最初におうちで会ったときから、
かんなちゃん、ずっと修造のこと
気にしてたみたいだったから。」
…!だからか!
最初に会ったときから、
やたらオレを見てると感じたのは、
それを伝えたかったからか。
虹村
「きっと…オレに伝えるの、
かんなちゃんも怖かったんだろうな。」
ひかり
「きっと修造のまっすぐな心が
かんなちゃんにもわかったんだよ。」
虹村
「親父が治ったら…
かんなちゃんにも報告しなきゃだな。」
ひかり
「うん!」
大凶は引いたけど…
シューティング対決で優勝したり…
それにかんなちゃんのことば…
新年早々、
オレは幸先いいな…と、
どこか晴れやかな気持ちだった。