第47章 -新生活-
「あの飛行機かなぁ?」
空港の飛行機が見える展望台で、
ひかりと飛行機が飛ぶトコを見ていた。
「いつまで泣いてんだよ?」
「もう泣いてないもん。」
「ウソつけ。」
やっと少し落ち着いたのかと思ったら、
飛行機を見てまたうっすら目に
涙をためていた。
親父たちを見送るとき、
双子たちが泣いたからか、
親父たちが見えなくなってから、
ひかりも泣いてしまった。
行くまでガマンしたんだろうな。
オレが行くときも…
ひかりはオレを見送ったあと、
こうやって1人で泣くんだろうか?
オレはそんなことを考えながら、
ひかりの頭をポンポンとした。
「うん!でも、元気出さなきゃね!
おじさまの病気がよくなるんだもん!」
ひかりは涙を拭いて
ニッコリして振り返った。
きっとまだ淋しい気持ちが
残ってるんだろうけど、
ひかりは自分で
気持ちを切り替えていた。
「おう。ほら、行くぞ。
戻ってオレも荷物運ばなきゃな。」
オレはひかりの手を取り、
展望台を後にした。
荷物とはいっても、
制服とバッグ、少しの服くらいだ。
足りなければ、取りに行けるし、
とりあえず当面必要そうな物だけ
トランクにつめて、
ひかりとひかりの家に向かった。
おじさんとおばさんは
まだ仕事だったので、
家に行ってもひかりだけだった。
虹村
「…おじゃまします。」
前に来た時よりも緊張する。
ひかり
「”ただいま”…でしょ?」
虹村
「…⁇」
ひかり
「3月まではココが修造の家だよ。」
虹村
「た…ただいま。」
ひかりのことばが嬉しかったが、
なんだか少し照れてしまった。
ひかり
「ふふ…おかえりなさい。」
ひかりがニッコリして言った。
ひかり
「ほら、行こ♪」
ひかりに案内されたのは、
2階のひかりの部屋の
向かいの部屋だった。
虹村
「ココ、使っていいのか?」
部屋には小難しそうな本が
たくさん入った本棚と机、
ベッドもあった。
ひかり
「うん♪
お父さんの仕事部屋なんだけど、
今は使ってないから、大丈夫!
遠慮なく使ってね。」
虹村
「ほんと…ありがとな。」
ひかり
「ぜんぜんだよ。
今日、ゴハン何がいい⁇」
…そっか。
今日から飯もひかりと一緒だ。
虹村
「ひかりに任せる。」