第43章 -気持ち-
待ち合わせは駅前だった。
オレが行くとひかりは先に来ていた。
ひかりは大きなストールを
肩からはおっていた。
いつもよりひかりが小さく見えて、
思わず笑ってしまった。
虹村
「悪い。待ったか?」
ひかり
「ううん。さっき来たばっかりだよ。
なんで笑ってるのー?」
虹村
「ん?なんか子どもみたいだから。」
オレはひかりの手を握った。
ひかり
「なにそれー?」
ひかりは繋いだ手の指を絡めてきて、
そのままオレの腕にギュッとして
くっついてきた。
虹村
「…⁈おい…っ。」
ひかり
「子どもみたいなんでしょー?
だから、遠慮なく甘えるの。」
心なしか、オレにしがみつく
ひかりの力がいつもより強く感じた。
虹村
「お…。今日も大丈夫だな。」
オレたちはあのビルに来ていた。
金もかからず、
周りを気にせず話せる場所は、
公園かココしか思いつかなかった。
ちょっと寒そうだが…。
ひかり
「わたしも…
コレできるようになるかな…。」
オレがセキュリティを解除している時、
小さい声でひかりが呟いたのを
オレは聞き逃さなかった。
ガチャ…。
ひかり
「うわぁ。やっぱりキレイだねぇ!」
ココからの夜景を見るたびに、
ひかりは毎回同じ反応をする。
虹村
「さみぃ…。やっぱ夜は寒いな。
ひかり、大丈夫か?」
ひかり
「うん。
大丈夫じゃないのは、修造でしょ?」
そう言うとひかりは、
フワァ〜っとストールを広げ、
オレをストールの中に入れた。
虹村
「…⁈ひかり⁇」
1つのストールに2人で入るから、
もちろんくっついている。
ひかり
「あったかいでしょ?」
虹村
「…あぁ。」
オレはあったかいストールの中で、
ひかりを抱きしめた。
虹村
「そういえば…」
ひかり
「ん…?なぁに?」
虹村
「笑未と何話したんだよ?
さっき笑未に聞いたけど、
よくわかんなかったんだけど?」
なかなか本題に入れず、
とりあえず気になっていたことを
先に聞くことにした。
ひかり
「あの…それは…その…。」