第36章 -ケーキ屋さん-
翌週、ひかりのバイトが増え、
だんだんひかりとの連絡が減った。
2週間連続で入ることになったバイトは、
平日もラストまで入っているらしく、
夜帰るとすぐに寝てしまうらしい。
ひかりのメールはいつも決まって、
謝るところから入り、
親父の心配、お袋や双子のこと、
そして、オレのことを聞いてきた。
虹村母
「そんなに気になるなら、
行ってきたらいいじゃない。」
虹村
「あ?どこにだよ…?」
土曜日、
親父の病室でお袋が唐突に言った。
虹村母
「ひかりちゃんのバイト先。
駅前のケーキ屋さんでしょ?
あそこ美味しいのよね〜。
シュークリーム、食べたいし。
買ってきてくれない?」
虹村
「オレが⁈
つか、なんも言ってねーよ。」
虹村母
「顔に書いてあるわよ?
1人で行けないなら、
光平と笑未、連れてったら?」
笑未
「どこ行くのー?笑未も行きたい!」
虹村母
「ひかりちゃんの働いてる
ケーキ屋さんで
シュークリーム買ってきてくれる?
お兄ちゃん、1人で行けないんだって。
明日のおやつにしよう♪」
光平
「やったー!行く〜!」
つか、行くなんて言ってねー。
虹村母
「修造?じゃ、お願いね♪
そのまま先に帰ってていいから。」
………………。
しかたなくだ…
しかたなく…お袋に頼まれて…
双子たちが行きたいというから…
オレは頭の中で様々な言い訳をし、
ひかりのいるケーキ屋の前まで来た。
来たのはいいが、
ケーキ屋なんて入りづれぇ…。
遠目に覗くと、奥にひかりが見えた。