第35章 -帰り道⑦-(現在)
虹村
「運動会の…何思い出したんだよ?」
ひかり
「修造は〜?」
ひかりは腕組んだまま見上げて、
オレの顔を覗き込んできた。
虹村
「思い出したっつったの、
ひかりだろ?」
ひかり
「そうだけど…
修造も思い出してるかなぁって
思ったんだもん。」
まぁ…間違っちゃないが…。
ひかり
「対抗リレーとか…借り物競争とか♪
お姫様抱っこなんて
生まれて初めてだったよ♪?」
…っ⁈
んな、素直に言われたら、
オレが照れるっ…
ひかり
「まさか学校新聞にまで載るとは
思わなかったけど…。」
ひかりはクスクス笑っていた。
そう…
運動会のあとも暫く大変だった。
あの借り物競争のゴールの瞬間が、
運動会後の学校新聞の一面に
デカデカと載ったのだ。
冬休み入るくらいまでは、
そのネタで周りにからかわれた。
その時はひかりへの気持ちを
忘れようとしてたから、
余計にキツかった。
だが…とりあえず…
クラスの新聞部の奴はシメた。
さすがに上級生の新聞部の奴らには
手が出せなかった…。
ひかり
「わたし、あの新聞まだ持ってるよ。
今度見る?」
虹村
「はぁ⁈あんなの持ってんのかよ⁈」
恥ずかしい…っ。
ひかり
「嬉しかったんだもん。
データごともらっちゃった♪」
虹村
「は…⁈データ⁈」
ひかり
「うん。新聞部のコがくれたの。」
そんなもんまでもらうなよ…。
ひかり
「わたしにはすごいいい1日だったなぁ。
好きな人にお姫様抱っこしてもらって、
可愛いって言われて…」
…っ⁈
急に可愛いこと言うなって…。