第34章 -帰り道⑥-(回想)
-回想(2年前)-
オレが1年で、
ひかりが3年の時の運動会。
帝光は各学年の奇数クラスが紅、
偶数クラスが白で、紅白戦となる。
オレは2組だったので、白組だった。
ひかりも白組だった。
運動会の頃はもう1軍になってたので、
ひかりとも話すようになっていた。
「あ!虹村くんだぁ。
虹村くん、何出るのー?」
ひかりは友だちといて、
オレも友だちといたが、
オレを見つけた時に話しかけてくれた。
ひかりは廊下で会うと、
いつもニッコリして話しかけてくれた。
オレはそれが嬉しくて、
いつも話しかけられると
気づいてなかったふりをしたが、
本当は廊下に出るたびに意識していた。
「あ…。お疲れ様っす。
徒競走と借り物競争と騎馬戦と、
対抗リレーっす。」
「やっぱり対抗リレー出るんだね!
虹村くんも出るなら、
白組は優勝間違いないね♪」
対抗リレーは
各学年男女それぞれ
2人ずつ代表となり、
紅白で競うウチの目玉みたいな競技だった。
「ひかりさんも出るんすか?」
「ううん。わたしは出ないよー。
わたし、遅いもん。」
「ひかりだって…」
「いーのっ!
あ、平澤くんも出るよ。
虹村くんも頑張ってね。」
ひかりの友だちは、
何か言いたそうだったが、
ひかりがそれを遮ったので、
そのときはそのままひかりと別れた。
今ならあの時の
ひかりの言動の意味がわかる。
「あの人、バスケ部のマネージャー?」
「あ?あぁ。そうだけど。」
ひかりたちの背中を見ながら、
飯田が聞いてくる。
「あの人もたしか応援団だよなぁ。
かわいいから楽しみだよな。」
「あ?なにがだよ?」
「知らねーの?
今年、白組の応援団、
女子はコスプレなんだってー。」
「はぁ⁈」
なんだそれ⁈とは思いつつも、
オレはひかりのコスプレが何か、
本当はかなり気になっていた。