第33章 -帰り道⑤-(現在)
「あ〜楽しかったぁ。
光平くんと笑未ちゃんも
頑張ってたし、たくさん観れたし!
修造も1位ですごいかっこよかった‼︎」
お袋は双子たちと帰るので、
オレとひかりは先に帰っていたが、
ひかりはやっぱり興奮していた。
「おう。当たり前だろ。
観てただけで飽きなかったか?」
「ぜーんぜん♪
ほんとに楽しかったぁ。
誘ってくれてありがとう。」
「…?おう。」
ひかりが嬉しそうなのは、オレも嬉しい。
でも、そんな興奮するほどか…⁇
「今日みたいにね、
場所取りしてシート敷いて、
皆で観てお弁当食べて…
そういう運動会、初めてだったの。」
「初めて…⁇」
「うち、共働きでしょ?
運動会の日も
休めないことのほうが多くて…。
たまに観れてもわたしの出るトコを
少し観るだけで…。
お昼の時間とかキライだったなぁ。」
「…?」
「お昼ね、親が来れないと、
先生と一緒に
教室で仕出し弁当食べるの。
お友達の家族と
食べたこともあったけど、
やっぱり淋しくなっちゃうし…
それにちょっと羨ましかったしね。」
だから…最初、”初めて”って…。
「まぁ、中学生になってからは、
皆、親も来なかったし、
楽しかったけどね。」
ひかりは笑顔を作って言う。
「来年も再来年も…
双子達の運動会来りゃいいだろ。」
「え…?」