第32章 -運動会-
運動会当日…快晴。
お袋とひかりは弁当担当なので、
オレは必然的に場所取り担当だった。
朝早かったが、オレは1番前を陣取り、
1人で待っていた。
懐かしいな。
双子たちの幼稚園は隣が小学校で、
運動会は小学校の校庭を借りる。
まぁ、幼稚園児が出るから、
校庭全体は使わないんだが…。
オレも同じ幼稚園だったから、
うっすら記憶に残る思い出を
思い返していた。
「修造!おはよう!
すごいね♪1番前だーー!」
ひかりがでかいバッグを持って現れた。
「オレが並んでたんだぞ。
当たり前じゃねーか。」
「ふふ…。
修造はいいお父さんになるね。」
「な…⁈いいから座れよ。」
オレはちょっと恥ずかしくなって、
そっぽ向いてしまった。
ひかりは部活の時のように
髪をポニーテールにしていた。
ジーパンにTシャツ。
ラフなのにやっぱり可愛い。
本人には言わねーが…。
そういや、ひかりの私服…
久しぶりだよな。
デートも東京タワーに行って以来だ…。
「修造?どうしたの?」
「いや。なんでもない。」
「すごいなー。楽しみだねー♪
光平くんと笑未ちゃん、どこかなぁ?」
ひかりはやたらキョロキョロして、
いつも以上に興奮していた。
「どうしたんだよ?そんな興奮して。」
「え…?興奮してたかな?」
「あぁ。珍しいな。」
「ん〜?こうやって運動会観るの…
初めてだからかな。」
「まぁ、下に兄弟いなきゃ
あんましねーよな。」
「…うん。そうだね。」
…?
「お待たせ〜。
あ、ひかりちゃん、おはよう。
今日は本当にありがとうね。」
ひかりに質問を投げようとした時に
ちょうどお袋が来たので、
会話はそこで終わった。
お袋もひかりと同じように
でかいバッグを持ってきていた。
「おはようございます。
いえ。わたしも本当に楽しみなので♪」