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〜虹村 修造のお話〜

第30章 -帰り道④-


「先にしてきたのおめぇじゃねーか。」


「…ホッペだったもん。」


「オレのお疲れさまのキスだったんだろ〜?
じゃ、オレの好きなようにして
いーじゃねぇか。」


「そうなんだけど…。
なんかちがーーうっ!
もうっ‼︎恥ずかしいじゃん。」


恥ずかしいとか言いながら、
ひかりは腕を組んできた。


「おいっ‼︎
恥ずかしいんじゃねーのかよ?」


「恥ずかしいから顔隠してるんですー‼︎」


「こっちのが恥ずかしいっつーの‼︎」


「キスのが恥ずかしいよっ‼︎
じゃあ、いーよー。普通に手繋ぐからー。」


そう言って、
ひかりは体をはなし、手を握ってきた。


結局手は繋ぐんだな。


ま、いーけど。



「あ、ねぇ、おじさま元気?」


「あぁ。最近調子いいみたいでよ。」


「そっかぁ。よかったぁ。
今週またリハビリだから、
お見舞い行こうと思ってるんだけど。」


「悪いな。
親父の奴、オレが行くより喜ぶしな。」


「そんなことないよ。照れ隠しだよ。」


「あの親父が〜?照れ隠しか〜?
おっ!今日は帰ってるみたいだな。」



ひかりの家の前に着いた。
今日は明かりが付いていた。


「ほんとだ。今日はどっちかな。」


そういえば、ひかりの親父さんには
まだ会ったことがなかった。


「じゃーな。」


「うん。じゃ、週末ね。」


「おうっ。」


今日はひかりの家の明かりが
付いていたので、
ひかりの頭をポンポンとだけして、
ひかりの家を後にした。



さっきしたしな。




『2度目の夏を越すのは…
厳しいかもしれません。』


医者にはそう言われたが、
お袋の言うように
親父は簡単にくたばったりしなかった。


安心できる状態ではないようだが、
とりあえずは安定していた。






オレも部活引退したし、
これからは家のことを考えないと…。



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