第24章 -部屋-
「なんで…なんで親父なんだよ…」
気づいたらオレは、
小さな声で呟いていた。
ひかりは何も言わず、
優しく頭を撫でて抱きしめたままだ。
「夏…越すの…厳しいって…なんだよ…」
オレの頭を撫でてるひかりの手が、
一瞬ビクッとなったような気がした。
「親父が何したんだよ…」
気づいたら、涙がこぼれていた。
自分でも驚いた。
泣くつもりもなかった。
泣いたのなんか…いつ以来だ…?
オレは声を押し殺して泣いた。
その押し殺した声すらも
漏れないようにするかのように、
ひかりはオレをさらに強く抱きしめた。