第41章 *桜並木でまた会いましょう*【赤葦 京治】
卒業式がやってきた
中学3年間よりも、高校の3年間はもっと時間の経過が早かった
それだけ真剣に高校生ライフを送っていたということだ
体育館から私達卒業生が客席の合間を通って退場する
同席した2年生と父兄が拍手で送り出してくれる
私の組が、一斉に立ち上がり、その場で一礼、そして出口へ向かう
その道中、彼の顔が見えた
同じバレー部であのやっかい主将の腹心をしてくれた優秀な後輩、赤葦 京治
彼も同様に手を叩き見送っている
その顔はとても涼しげで、もう少し寂しそうな顔を作れないのかと、ああやっぱり京治くんらしいや、なんて思えば先ほどまでの涙顔が笑顔に変わった
体育館を出る
わんわんと声を上げながら泣く友達
抱き合いながら涙を流す隣のクラスの子たち
そして、涙をグッと堪えて目の下を赤らめさせそれを見知った顔達がちょっかい出したり、小突いたり、あるいはもらい泣きしているチームメイト
「なに泣いてんのよ、木兎くん」
彼らの近くへ足を運ばせ、涙を堪えて顔が赤くなっているお馴染み主将の木兎くん
もらい泣きしているのは木葉くん
ちょっかい出してるのは小見くん
3年生全員が体育館から退場すると、最後にまた父兄、2年生に見送られ卒業式は幕を閉じた
皆がカメラや携帯電話で記念撮影をする中、私は部室へと向かった
もちろん、途中から友達やそれほど付き合いのない子にでも一緒に写ろうと誘われれば気前よくカメラにピースサインを向け、内心急いでいるから速くしてと急かした
少々の談笑も、笑顔で聴き丁度いいところで切ってはまた別の子に捕まる
一斉に来てほしいなんて無理な話を思いながら、私は部室へと続く道を駆けた