第40章 *白……*
クリスマス直前ということで、街の木々は電飾で色鮮やかに飾られている
今は朝だから、光のついていない電飾が木のあちこちからとげのようにニョキニョキ出ているだけだが
着込んだジャージ姿に首元にはマフラーを巻いて。
私は浮かれ気分の街中を闊歩していた
商店街を抜けると、辺りはのどかになって打って変わった静けさがそこに出る
住宅街の中を歩いていると、小学生くらいの男の子が1人、淋しげに木を見上げていた
「どうしたの?」と声をかけるとその子は小さな肩をビクリと上へはねさせて、私の方を振り向き見た
クリクリの瞳なのに、力強さを放つ印象的な子
男の子は何か言いたげに口をパクパクさせ、そして指で木を指し言った
「かわいそう」
針葉樹じゃないらしく、その木はつけていたであろう葉を全て落とし、枝だけの姿になっている
それを見たその子は『かわいそう』と思ったのだろう
でもなんでだろう
こんな木、沢山あるよ?
「どうして、かわいそうなの?」
「この木だけ、1人ぼっち
俺、この公園によくくるんだ……
でもいつも、1人ぼっち」
なんて可愛い答えなんだよ
確かに周りの木々は、木じゃなくとも、花壇や何やらとそばにある
けど、この公園の木には何もなかった
公園自体、滑り台と少し広めの広場しかない
本当にポツンと立っているのだ
「でも、君がいつも来てくれているからこの木は一人ぼっちでも寂しくないと思うよ?」
彼の目に合わせてしゃがみ、ニコリと微笑んだ
その子の目は、パアッと明るくなる
ああ、かわいい