第39章 *平凡な毎日にピリオドを* 【及川 徹】
チャイムの音と共に、監督の先生が「はじめっ」と言の葉を放つ
一斉に配られた紙を慌ただしげに表へ裏返す音
そして、次に聴こえるのはカチカチとシャープペンを鳴らす音
今日までの4日間、もう何度も聞いてきた音
いや、中学、高校の少なくとも4年間
繰り返してきた動作なのだ
別に今日は大学受験とかそういうものではない
ただ単に、定期考査の試験中である
今日は4日間続いたそれの最終日の最終教科
それも、私のキライな数学なのだ
数学は、計算で時間がかかるから110分ある
解答用紙に氏名を書いて、問題に目を配る
葵
(………は?)
目に飛び込んできたのは訳のわからない文章と数字がたたずんでいるだけ
やはり、事前に詰め込んだのが悪かったのか……
テスト本番になって、昨日覚えた付け焼き刃の公式も吹っ飛んでいった
しかし、白紙という訳にはいかない
何とかわかるところだけ先にとりかかる
次に、なんとなくわかるところを
葵
(今回も赤点かも………)
みんなのペンと私のペンを動かす速さはあからさまにちがう
ふと私は、窓を見た
ぼんやりと、頬杖をついて