第37章 「お疲れ様」をいただきます【及川 徹&岩泉 一】
及川ver.
テストまで残り1週間をきった
全部活はテスト前なので全て活動中止である
放課後の教室、夕日が差す頃には人が居なくなっていた
連日、十分な睡眠を取っていないせいか数字を見るだけでウトウトしてしまう
そして、とうとう私は睡魔に負けて机に突っ伏して眠ってしまった
及川
「ヤッホー☆葵ちゃん
勉強してるー?ってあれ…………」
教室のドアから顔を覗かせた及川がきょとんとする
小動物のように、息をするたび背中が上下している机の上の物体を見て、誰なのかわからなかったのだ
そろりと入って顔を覗こうとするも、上手く腕で顔が隠れて分からない
しかし、頭の下にあるノートを見て瞬時に分かった
及川
「葵か……
………」
葵の前の席のイスを静かにひいて、そこに腰掛ける
ペンを握ったままの右腕はダラリと伸ばして机からはみ出している
及川は、手の中のペンを器用に取り出した
次に、髪の毛を撫でた
夕日に染まって少し茶色く放つ髪の毛
及川
「葵………
起きてないよね?
俺さ、中学の頃から好きだったんだよね」
撫でる手つきもその口調も
すべてが優しかった
ピタリ、と及川の手が止まる
葵
「と……………お…る」
及川
「なぁに?葵ちゃん」
呼びかけても、マトモな返事は返ってこない
ただの寝言でも、及川は嬉しさを隠せずには居られなかったのだ