第30章 手を伸ばせ【影山 飛雄】
「おい、起きろ」
葵
「………ぬぁ……?
あ、飛雄……はよー……Zzz」
「おう、って!
寝んなボケっ!!」
そう言って、彼女の掛け布団をひっペ返す
3月だと言うのに、腹を出して……
「お前、腹出して寝たら風邪ひくぞ」
葵
「風邪ひかないように掛け布団かけてるんじゃんかー……
ふあぁあ……」
涙目になりながら、あくびをし、のそりと起き上がる
(………っ////
無防備すぎだろ……こいつ///)
「おい、早くしろ
朝練、日向に遅れる」
葵
「ふぁあい」
目を擦りながら、用意しだす彼女
葵
「……ちょっと。
着替えるんですけどー、見たいんですか?
ま、見た暁には変態ヤローとして今後が心配だけどね」
目が覚めたのか、変わらない凛とした口調へと変わる
「誰もお前の着替えなんか見ねーよ
さっさとしろよ
俺、玄関で待ってるから」
葵
「わかってるよ」
彼女の部屋を出て玄関で待つ
数分後、パンをくわえた葵が姿を現す
葵
「ほひっ、ひほっは(よしっ、いこっか)」
「お前、いつも食べながら歩いたら行儀悪いっつってんのに」
葵
「むぐっ……んっ(ゴクン」
一旦パンを手に持ってローファーを履きながら
葵
「早く行きたいんでしょ?
それとも、私が食べ終わるまでまってますか?」
嫌味な笑顔で言い放つ
けど、上目線で嫌味なものも可愛い物にしか俺の目には映らなかった