第29章 たまには本気で【国見 英】R指定
葵
「えっ、ちょっ、まだ来たばっかしなのにっ………」
わずかな抵抗もものともせず、私をズルズル引きずっていく国見ちゃん
何言っても聞いてくれそうにないので、そのまま従う事にした
つまり、ズルズルおとなしく引きずられていくことにした
歩くより、楽かもしれない←
引きずられてきた場所は体育館裏
ピタリと止まった国見ちゃんが振りむく
ーダンッー
いきなり壁に押し付けられる
葵
「っ!」
そろりと彼の顔を伺うと、何とも冷徹な目で私を見下ろしていた
恐怖を覚えて自然と顔が強張る
国見
「影山好きになったの?」
低く、低く
告げられる
葵
「ちっ……違うよ
そんなこと………ないよ」
顔の両サイド手をつかれて逃げ場はない
目を合わせるのも怖い
国見
「じゃあさ、俺のことはどうなの?
会って早々カレシ放置して影山のところいったくせに」
確かにそうだ、と思った
葵
「ーごめん国見ちゃん………」
国見
「ダメ
ちゃんと反省してるか、確かめないとね
そもそもいい加減"国見ちゃん"て呼ばないでよ」
そう言いながら、ついていた手を肘にかえる
両腕とも肘を壁について、距離がぐっと縮まる
あまりの近距離に、言葉が出ない
国見
「ほら、言いなよ」
葵
「あ………英……///
言ったよ///これで許し「ちゃんと目を見て言ってよ」
近づく距離
私が"英"と目を見て呼んだ時には、口は塞がられていた