第28章 これからも【澤村 大地】
そこには、1人の女子が机に突っ伏して、こちらとは逆の方向を向いていた
(誰だ?)
自分が入っていってもこちらを振り向こうとはしない
その子のそばへ近寄り顔を覗くと……
「え?
葵??」
同い年の幼なじみが静かに寝息をたてていた
(これじゃあ、忘れもん取れないな……)
葵が寝ているのは俺の机
机の中へ手を滑りこませるのも、なんだか変態じみて出来ない
何しろ、寝ているのは彼女である葵だし……
(このままこいつの寝顔でも見てるか……
しかし、ほんっと無防備だよなー)
そういえば、最近あまり喋ってなかった気がする……
幼なじみから彼女という関係になって、接するのがなんかもどかしくなる
葵の髪をさらりと撫でた
(そういえば、なんでこんなとこで寝てるんだ?
葵とはクラスが離れているのに――