第21章 夏の海【西谷 夕】
―帰り道―
西谷
「昔、葵を助けたの
俺なんだ」
葵
「え!?そうなの?」
西谷
「俺もちょうど海に来ていてさ、
溺れている子がいるのに、友達はお前を助けようとしていなかった
『あの子は泳げるから大丈夫』だって
だからといって、ほっとくわけにもいかねーし
あの時もキスしたの、覚えているか?」
葵
「ううん………
意識、ほとんどなかったから
でも、今生きているのも夕のおかげだったんだね
私、ずっと助けてくれた人にお礼を言いたかったの
ありがとう」ニコッ
西谷
「おう///
ほら、もうすぐ着く
電車降りるぞ」
葵
「うんっ」
ーーーーーギュッーーーーー
手を握られる
西谷
「こうしないと、危ねーからな!」
私は強く、彼の手を握り返した
ありがとうと込めて
―end―