第9章 分かってない
高3の秋。
僕は受験のため、図書室に残るようになった。
19時を過ぎた頃から決まって図書室には僕と美颯と2人になる。
机は離れていて、話すことはない。
けれど、今日は違った。
いきなり美颯が僕の座っている椅子の隣に座ってきた。
僕は無視してそのまま勉強し続ける。
「月島、ちょっと」
美颯は僕の顎を上げ、キスをした。
もちろん、僕らは付き合ってもいないし、僕は美颯が好きなわけではない。
「........は!?」
美颯はにやっと笑い、僕と距離を取った。
「月島さぁ、勉強する時と眉間に皺よせんのやめなよ?老けるよ?」
「は?関係ないでしょ?」
「ほら、また!」
「五月蝿いな。そういうことすると、男がどうするとか考えないわけ?」
僕は勉強ばかりで頭が狂っていた。
だから、あんなことしたんだと思う。