第7章 凸凹
入学式の日。
俺はモデル並に背の高い女を初めて間近で見た。
俺とどれくらい違うのだろうか。
明日の身体測定の時にでも聞いてみよう。
背があるからか、とても高校1年には見えない。
顔も整っていて、ストレートの髪を後ろで結んでいる姿はどこか高校生離れしている。
本当にモデルなんじゃないかと思うくらいだ。
ホームルームの自己紹介の時にその女の名前を知った。
吉村美颯という。
*****
翌日の午前。
俺は体育館で吉村が身長測定をしているのを見かけた。
終わったところを狙って聞きに行く。
「吉村」
「なに?」
吉村は首を折り下げて俺を見る。
う........
でかい....
「身長、何cmだ!?」
「え?」
いきなりの俺の質問に戸惑っている。
「179cmど」
「ひゃ、179ぅぅぅう!?」
俺は驚いたあまり、大声で叫んでしまった。
体育館にいる人の殆どが俺を見る。
少し恥ずかしくなって、今度は小声で
「俺と20cm違うんだな....」
「夕はちゃっこいからまりから(小さい頃から)背低かったからね」
俺が周りの視線を気にしていると、吉村は聞き捨てならんことを言った。
小さい頃から?
おかしい事を言う。
俺は吉村を知ったのは昨日が初めてだ。
おかしい。
「え。どういうこと?俺、吉村と会っていたのか?」
吉村はただただ微笑んでいるだけ。
答える気はないらしい。