第4章 報われない
『あの2人は付き合ってる』
そう思ったのは最近だ。
私は日向が好き。
でも、その日向には付き合っている人がいる。
その人は3組の影山。
2人が手を繋いで帰っているのを見たことがある。
まだ本人に聞いてないから真実かどうかわからない。
今はテスト期間中で勉強しなくちゃいけない。
頭の良くない日向が私を頼って『勉強教えてくれ!』って行ってきた。
私は『もちろんいいよ』と答えた時の日向の表情好きだと思った。
それから、影山も頭が良くないらしい。
ほぼ初対面の人に『勉強教えてくれ』なんて可笑しな話だけど。
そんなこんなで今私の家で勉強会中。
私もそんなに頭が良いわけでない。
私はしばらく数学を解いていた。
日向が問題集を前に唸っていたので少し教えてあげる。
影山はそれを横目で見て小さく舌打ちする。
私は日向の手を見て少しドキッとする。
ゴツゴツしてるけど、どこかふにっと柔らかい感じがする。
触れたい
そう思ってしまった。
日向にこの感情がバレてしまわないように、勉強を教えることで必死に隠した。