第2章 恋愛攻略
うずくまる彼女に僕は名前を呼んだ。
ビクッと動き、そのまま動かなくなった。
「さっきは悪かった。僕は吉村が好きだよ。信じられなくて、あんなこと言ったけど、本当は違うから。それだけ。じゃ」
僕は踵を返して歩きだそうとすると、手首を掴まれた。
いつのまに立ったのか、吉村がぐちゃぐちゃの顔で僕を見ている。
「返事!ちゃんとした返事がほしい」
「っ........」
僕は吉村の顔が見れなくなって顔を背けた。
手首は掴まれたまま。
「好きだよ」
聞こえるか聞こえないくらいの音量で言ったつもりだったが、吉村にはちゃんと聞こえたらしい。
吉村は満面の笑みで僕に
「これからもよろしくね」
と言い、僕の腕を力強く引っ張った。
そして、強引だけど優しいキスをした。
僕の赤い顔を見て、彼女はニヒっと笑う。
僕は悔しくて吉村の頬を軽くつねってやった。
恋愛攻略fin.