第1章 はじまり
「なー、海斗」
「なに」
海斗の顔を見ると顔が赤かった。
「あのさ――」
と、言って兄の口が止まった
「? どーしたの?顔赤いけど大丈夫?」
「あー、うん、大丈夫」
「そ?」
なに、俺に欲情しちゃったの?
なんでもないと言うから
俺は気付かない振りをして少し禅斗で遊ぶ
「兄ちゃん、俺に何言おうとしたの?」
「あ、んー、やっぱいいわ」
と、禅斗は頭をかきながら少しひきつり気味に言った
あー、むり、気になる
「え、海斗?」
俺は禅斗に顔を近づけた
「ね、俺に何言おうとしたの?にーちゃん」
俺は得意の上目遣いで兄を見上げた
すると禅斗の顔はさっきよりも赤く増した
……やべ
禅斗のこの顔好き――――
俺が顔を近付けると
禅斗は顔を赤くして少し後ろに顔を引いき
目をそらした
「ちけーよ……」
「うん、近付いてんだもん」
「……襲っちまうぞこら」
「いて」
禅斗は海斗の頬を摘まんで俺から離れた
俺から近付くと直ぐに逃げる
だから俺は可愛い可愛いネコでいなきゃいけない
しんど……