第41章 スイレンの覚悟
「・・・ずいぶんと考え込んでいる様子だね、カカシ。やっぱり言わない方が良かったか」
「スイレン・・・」
あれから二日後、木ノ葉にて。
ボーッとしているカカシの背中に、スイレンが声を掛けた。
「・・・心の整理がまだできてないんだよ」
「そう。・・・でも、戦争始まるんでしょ?そんなことしてられないんじゃないの?」
「・・・仕方ないだろ。放っておいてくれないか」
“たしか、『うちはオビト』って言っていた気がする”
その言葉はカカシの呼吸を止めるのに十分過ぎるものだった。
ショックを隠しきれていないカカシに、スイレンはため息をついた。
「そんなにお前にとって特別な存在なの?」
「・・・親友だ。でも、オビトがアイツだなんて・・・嘘だ、だって・・・アイツはまっすぐで明るいヤツなんだ」
「・・・別に、僕の記憶違いかもしれないし、そこまで考え込むことはないんじゃない?でも、違っていても合っていても、お前は覚悟を決めなきゃならないよね。現にお前はうちは一族でもないのに写輪眼を持っている。・・・大方、その親友からもらったってところか」
「・・・」
「ねえ、ちょっとついて来てよ。どうせ暇でしょ」
「・・・どこ行くんだ?」
スイレンは立ち上がり、カカシを見下ろした。
「お前の知らないところ。お前が覚悟を決められないなら、僕の覚悟を見ていけ。そうしたらそのひどい顔もどうにかなるよね?」
そうしてカカシが連れてこられたのは、知らない森の中だった。
人が立ち入ったことのないような深い森の中には、姿は見えないが多くの動物の気配がした。
スイレンは迷いのない足取りで進んでいく。
そして歩みを止めたかと思うと、少し大きな声で誰かの名前を呼んだ。
「ネネ!・・・ネネ、いる?」
『主様!どないしたん?』
「久しぶり。今日はお前に用事があって来たんだ」
スイレンと会話をしているのは白いフクロウだった。
「コイツはネネ。僕の・・・仲間だ。ネネ、人型になってくれる?」
スイレンの指示を受けたフクロウは頷くとポン!という音とともに人の姿になった。
「何や、主様。ウチに用って、珍しいなあ」
「今回は真面目だよ。お前に預かってほしいものがあって来たんだ」