第2章 入部
これが、私の昔住んでいた家・・・。
家の形は昔と変わらず同じ。庭にあった小さな花壇は無くなり子供用の遊具が置かれている。それに加えて住んでいる家族が違うせいか、雰囲気がガラリと変わっている。
そんな私の顔は悲しい顔をしていたのか孝支くんが悲しそうな顔で覗き込んで、「大丈夫?」と聞いてきてくれた。「大丈夫だよ。」と心配させたくないので笑顔で返すと、「じゃあ俺ん家に来んべ」と言ってくれた。だから「うん。」と言って彼の家に向かった。その道中、私たちは今まで通り『です』『ます』を使わないという約束をした。
孝支くんの家は以前とそこまで変わりはなかった。から余計懐かしく感じた。
「じゃあ、入ってよ」
「うん、ありがとう。お邪魔します。」
「ただいま〜」
すると誰も居ないはずの孝支くんの家から「お帰り」の声。驚いた孝支くんは急いで声のした方に走っていってしまった。
「なんでいるの!?お母さん!」
「残業かなって思ったら案外早く終わったもんだから帰ってきたの。ダメかしら?孝支も帰って来るの早いじゃない。部活は?どうしたの?」
なんか、出づらくなりました。
「部活は調子良くなかったっから休んだ。
それで・・・」
「それで何?」
「懐かしい友達に会った」
そう言って玄関付近にいる私を引っ張って紹介してくれた。
「この子だよ、お母さん!覚えてない?」
孝支くんのお母さんが首をかしげたので、きっと覚えてないだろうな。
「生野夏妃です。あの頃はお世話になりました。」
そう言うと、ぱぁと顔の様子が変わった。
「夏妃ちゃん?懐かしいわ〜。それにしても見ない間にこんなに綺麗になって。」