
人差し指を唇に当て笑う姫に及川は瞳を細める。
及川 徹
生意気っ!
言っておくけど、俺の方がヒメちゃんの事好きなんだからね!
忘れんなよっ!
人差し指を突きつけながら未だ顔の赤い及川の言葉に姫は嬉しそうに微笑む。
(さっきまで不安だった事が溶けていくみたいに無くなる。及川さんの洞察力って凄い。さすがだなぁ)
及川 徹
ほら、帰るよ!
及川 徹
(俺がどれくらい姫のこと好きか、全っ然わかってない。姫が何を考えてるのかくらい、見てればわかるのに。まぁ俺がどれくらい姫のことを見てるのか、知らないんだろうけど)
及川 徹
(控えめで大人しくて、さり気なく気がきいて、俺のことよく見ててくれるし、出しゃばらないし可愛いし。知れば知るほど姫が好きになる。この俺をこんなに夢中にさせてても全然自覚ないし)
及川 徹
(俺に迷惑かけたくないって黙って我慢してるのも知ってる。そんな姫の優しさに甘えちゃいけないって思わせてくれる、そんなキミだから。誰が何を言っても、俺が姫を好きなんだ)
及川は姫の手を引くと、姫はその後を静かに着いてくる。
絡ませた指先が控えめに握り返してきた事に及川は笑みを浮かべる。
仲良く寄り添う二つの影は長く伸びていた。
〜完〜
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