
雅紀
うん。
ペッコペコだよぅ~。
《もぐもぐ》
《ごっくん》
雅紀は口のなかのものも飲み込んで満足したようです。
楽しそうににっこにこしています。
智
あ゛あ゛ーーーーーっ!
智お爺ちゃんが雅紀に駆け寄ります。
いつもは緩慢なのにすばやいです。
まるで忍びです。
智
おでのー!
おでのーーっ!
智お爺ちゃんが雅紀の肩を掴み前後に激しく揺さぶります。
雅紀
このみかんジッチャンのだったの~?
ごめんね~。
あっ、代わりに私のおかずひと口あげるから許して、ね、ね、ね~。
雅紀は顔の前で、両手の平をスリスリスリッと激しく擦り合わせながら、必死に謝っています。
智
おかず……
おでのみかん…
みかん…
智お爺ちゃんは項垂れ、「みかん…」とずっと念仏のように繰り返し唱えています。
どうやら雅紀の声は届いていないようです。
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