第35章 奉仕系女子:木吉〈続・花札系女子〉
「やっぱりの料理はうまいなぁ」
「そう? ありがとう」
そのニコッとした笑顔にも癒される。
毎日見ることができて幸せだ。
もう学生の頃のような子供らしさはないけれど、笑顔はあの頃から変わらない。
「……本当に言ってくれたね」
「ん? 何をだ?」
「昔、夢で鉄平がご飯美味しいって言ってくれた話したら、それは夢じゃなくて将来そうなるだろって言ってくれたでしょ」
「あぁ、そうだな」
あの時は本当にそう思って、そうなったらいいなとも思ってて。
実際に叶って嬉しさと、あと不思議な感覚があるんだ。
前々からこうなることが決まってたような、そんな感覚が。
なんてことを考えて、ふと気付けば空になった鍋や皿が目の前からなくなっていた。
が下げてくれたのか。
「悪い、気付かなかった。ご馳走さま」
「お粗末さま。何か考え事してたの? また出張とか?」
「いや、そんなんじゃないんだ、大丈夫」
そう言うと、不安そうだった顔に笑顔が戻った。
やっぱり、その顔が一番だな。