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髪垂れた未来を(銀魂:沖田夢)

第1章 髪垂れた未来を


白詛と呼ばれる謎のウィルスが地球を襲って以来、世界は著しく滅亡へと向かっている。それはウィルスの発祥地である、江戸の誰もが肌で感じ取った事実だった。

正体も分からない、対応も分からない、治療法もわからない、病は全世界へ広まる一方。そんな最悪な四拍子が揃った疫病の影響で、地球はもぬけの殻に近い状態へと変貌した。そうなったのには主に二つの原因がある。ひとつ、宇宙へ逃れるための資金を持つ者が、たちまち病に恐怖し、地球を離れるから。ふたつ、地球を逃れる術を持たぬ者が白詛に犯されて死を迎えるから。

驚異的な殺人ウィルスは、今日も容赦なく美しい青星を死へと誘っている。だから五年も過ぎた現在、地球に残った人口はほんの僅かだった。地球から逃れる術のない者達、この非常時に付け込んだ不良共、そしてケツ捲くって逃げるのが性に合わない連中。全体的に見れば、未来を諦めた人々が大多数を占める世の中へと変わっていた。

しかし、少数派も存在する。五年と言う長い歳月が過ぎ、美しいとされていた青い星も見るも無惨な姿へと変貌したが、どんなに過酷な環境へと変わろうとも、決して変わらない「何か」が江戸にある。まさにそれらは「ケツ捲くって逃げるのが性に合わない連中」なのだが、何の因果か、まるで示し合わせたかのように彼らには共通する「縁」があった。
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