第1章 第一章『プロローグ』Ⅰ.
私は気づかなかった。この気持ちに。
小学校3年生になった頃。
私は、近くの市立の体育館でバレーをしに毎週通うことになった。
バレーは母に勧められたのがきっかけだった。
母はよくママさんバレーをやっていた。
それは、ソフトバレーだったがすごく楽しかったから娘に始めさせたと言う理由だった。
通い始めて、最初の1年ほどは何が楽しいのかさっぱりだった。
打っても打っても上手くいかなかった。
けれど、4年生になった時。
私はレシーブがすごく得意になっていた。
スパイクはイマイチだったけど、私はどんなボールでも拾えた。
そうやっているうちに、今度同年代で練習試合することになった。
男女混合のこのチーム。私はリベロとして練習試合に参加した。
私は懸命にレシーブをし、ボールを上げる。
すると、セッターは綺麗にトスを上げて、スパイカーが思いっきり打つ。
私は、ついそのスパイカーに見入った。
同年代とは思えないほど身長の高い男子だった。
確かこの子は、いつも前髪の長い子を連れてきていた気がする。
特徴的な髪型だから直ぐにわかった。
「ナイスレシーブ!」
彼は試合後笑顔でそう言ってくれた。
結果は2:0で私達のチームの勝ちだった。