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君と鼓動が重なる時【進撃の巨人】

第16章 命の宝庫へ




「エルヴィン達が元の世界へ戻る
手助けをしたいのに、心の奥では、
まだ戻らないで欲しい、って思ってる。
二人の志や意思は、ここにいたら
貫けないって分かってるのに。」


エルヴィンの手が、
スッと私から離れた次の瞬間、
私はエルヴィンの胸に抱かれていた。


前に抱かれた時より、熱く、速く、
鼓動を刻んでいるのが分かる。




「凛。ありがとう。」


エルヴィンの言葉の意図が分からなかった。

叱咤されてもおかしくない発言をしたのに、
穏やかな声で謝意を示され
戸惑わずにはいられなかった。




「……俺を、必要としてくれてありがとう。」



「……エルヴィン……?」

今にも泣き出しそうな声に聞こえ、
咄嗟にエルヴィンの腰に手を回す。


エルヴィンを必要としている人なんて、
元の世界には何十人、何百人と居る筈なのに、
何故ここで私に“ありがとう”の言葉を
掛けてくれたのだろう。

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