第12章 熱い視線の理由
「……これは……何だ?」
「……うん。
ちょっとこれについても、
詳しい説明は無理なんだけど。」
車の前で立ち竦む二人を横目に、
後部座席のドアを開ける。
「これは車。
二人のいた世界でいうと……
馬車みたいなものかな。」
「この世界では、これが移動手段なのか?」
「うん。
他にも色々移動手段はあるんだけど、
それは追々教えるよ。
取り敢えず、乗ってくれる?」
黒檀色の軽自動車には
どうも似つかわしくない二人を
後部座席に押し込むと、シートベルトを締める。
「……おい、これは何だ?」
眉間に皺を寄せたリヴァイが、
シートベルトを指で引き上げた。