第6章 村のショウタイ
蓮は、急に黙り込む。香李は、彼に向かってお母さんやお父さんは?と問いかける。
「母さんは、違う場所から来てこの村に住むようになった。前の父さんは………この村の出身だ。」
「……前のお父さん………???」
香里は、蓮の言葉に首を傾げる。蓮は、皆には親が再婚した事は、話してはいなかった。ついでなのか、蓮は香里に再婚の話をしたのだ。
「あぁ。今の父さんは再婚相手なんだ。一回離婚したんだよ、親が…。」
「ど、どうして??」
香李は、驚きながらも蓮に質問するが彼は、難しそうな表情を浮かべながら首を左右に振る。
「俺が聞いたのは、父さんと喧嘩して別れた…と。でもな、俺は絶対に別の理由があると思うんだよなぁ…。」
「別の…理由……??」
蓮は、あぁ…と頷いていたのだった。でもこれで分かった話だ。蓮にも、ヤンデレの思考があるという事を…。香李は、恐る恐る震える声で、じゃあ…稟は?と言う。蓮は、一瞬息を詰まらせる。やがて、溜息を付いて言った。
「あの状況だ、何とも言えねぇよ。あの感じは、殺気しかねぇ。もし、また会ったら殺しにくるだろうよ。」
「………。」
蓮の言葉は、とても重く一気に身体にのしかかる。香李は、黙っているしかなかったのだ。その時、蓮はだが…と言葉を繋いで言う。
「アイツの記憶にあるかどうか、分からねぇが…アイツと俺は兄妹だ。」
「え……?きょ………う、だい……??」
香李は、蓮の言葉を疑うように目を見開き驚いていた。当然の話だ。同じ名字ではないからだ。兄妹ならば、同じ名字を持っている筈だ、と香李は思っていたのだ。
「俺がアイツの兄で、アイツは俺の妹。要は、双子なんだよ。」