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【丸井ブン太】そんなアイツは。

第3章 確かめる術


立海大テニス部2年エースこと切原赤也。俺は丸井先輩の相談に乗っていた。いつも明るくて自信たっぷりの先輩からは考えられないほど落ち込んでいた。
「赤也はさ。その……」
丸井先輩は言いにくいのか目をキョロキョロと泳がせる。俺はそれをじっと待った。
「俺の、友達なんだけどさ」
丸井先輩の声は震えていて明らかに嘘だとわかったが俺は黙って聞いた。
「気になってる奴がいて……。そんでソイツの友達?になるのかな。と仲良くて……」
丸井先輩は片膝を抱えるようにしている。その表情はとても切なかった。
「すげェ辛いんだ」
そう言って先輩はフゥと息を吐いた。話す前よりは幾分、スッキリしたようだ。
「ま、赤也にはわからねぇだろい?」
丸井先輩はいつも通り笑い歩き出す。
「わりぃな。急にこんな話して。サンキュー」
そう言って振り向いた丸井先輩は酷く悲しそうだった。



俺は教室に戻り丸井先輩の話を思い出す。丸井先輩は誰かの事が好きなんだ。
ここまではわかった。けど。丸井先輩の友達って誰なんだろ。丸井先輩、人気だから友達なんて探してたらキリがねぇ。
それに好きな人もわからない。ただできたのはここ最近だと思う。前まではあんな態度じゃなかったし……。
「あー!わかんねぇよ‼︎」
俺は思わず声を荒げてしまった。シンと静まり返った教室に冷ややかな目が俺に突き刺さる。
「切原、廊下立ってろー」
国語の先生の冷たい声に俺は小さく返事をしてトボトボと廊下へ向かった。
廊下で立っていると屋上へ続く階段から幸村部長が降りてきた。こんなとこを見られたら怒られると思い咄嗟に消化器の裏に隠れる。
隙間から覗くと幸村部長の後ろに綺麗な銀髪の女が降りてきた。
すげェ色だなーって思っていると不意に女が俺の方を向いた。その顔がとても綺麗だった。白い肌に大きな紫色の瞳。右目の下には泣きぼくろがある。
「──っ」
思わず息を飲んだ。そして、一瞬で心を奪われた。彼女は俺に気付いたのかと思ったが何事もなかったかのように幸村部長の後を追った。
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