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【丸井ブン太】そんなアイツは。

第2章 期待的な何か


俺は軽い足取りで学校へ向かう。朝練もないし朝からラッキーだ。いつも通りガムを膨らませ歩いた。

教室に入り友達と談笑する。いつもと違うのは黒崎を探していることぐらいだ。キョロキョロし過ぎて友達に「何やってんだ?」と笑われた。
担任が来てHRが始まった。俺の後ろの席の仁王はやはり来ていない。そして今まで気にも止めていなかったが廊下側の1番後ろの席が黒崎の席なのだろう。俺の席は真ん中の1番前。前に早弁が見つかってからずっとここだ。
「丸井ー前向けー」
担任に帳簿で頭を叩かれる。
「いてっ」
俺がそう言うと教室にドッと笑いが起きた。恨めしそうに担任を睨むが全く意味がない。煩くなった教室を静かにさせて出席をとり始めた。
「仁王とアイツは休み、と」
担任がそう言った時に教室の前の扉が開いた。
「さーせん。遅れましたー」
そう言って中に入ってきたのは黒崎。ネクタイを少し緩めてるぐらいでちゃんと着こなしていた。担任は驚きを隠せないといった表情で黒崎を見る。
「黒崎!」
俺は黒崎に声をかける。
「よーす、丸井」
黒崎は小さく笑いながら俺に答えてくれた。
やばい、かなり嬉しい。
「お前……」
担任は目を丸くしている。しかし黒崎はそれを気にせずに話す。
「今日からちゃーんと真面目にくるよ」
黒崎はそう言うと不敵に笑った。
「で、アタシの席はどこ?」
担任は一番後ろの席を指差す。「どうも」と言い黒崎は席に着いた。周りがびっくりしているのを見て黒崎は面白そうに口角を上げている。
黒崎の登場でゴチャゴチャしている内にHR終了を知らせるチャイムが鳴った。担任は逃げるようにして教室から出て行く。
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