• テキストサイズ

おとなりさん

第1章 7月7日


降り止まない雨。


静かな夜の街に水音だけがしきりに流れてる。




湿った風が頬を撫でた。


優菜は二階の部屋の窓から空を見上げていた。



時折聞こえる車のタイヤが水を切って跳ねる音で、ずいぶんと雨が道に溜まっているのだと想像させる。






•••どうしてこんなに降るのだろう。


今日は年に一度の七夕なのに•••




おとぎ話と分かっていても、この日になると毎年天気を気にしている自分がいた。


記憶を遡ると、毎年7月7日は雨だ。




もう、何年も。



織姫と彦星は何年も会えてないのだろうか…。



星一つ無い真っ黒な空を見つめて、そんな事をぼんやりと考えていた。









「結構、降ってるな。」









すぐ左から男の人の声がして、優菜は思わず小さな悲鳴を上げた。
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp