• テキストサイズ

幸福な恋におちている

第1章 碧に吸い込まれる


×年下美少年





──彼はまだ子供だと、私は勘違いしていたのかもしれない。

ㅤフワフワのブロンドヘアー。
ㅤ人形の様に大きくて丸い、碧い瞳。
ㅤそして、可愛らしい無邪気な笑顔。

ㅤ彼の、まるで少女の様な外見に惑わされそうになるが、間違いなく彼は……正真正銘の男なのだ。





─────────────



碧に吸い込まれる



─────────────





ㅤ私の世界は父親を中心に回っていた。

ㅤ父子家庭で育った私は、父親以外の男性と深く関わりを持たなかった。
ㅤ私自身が持とうとしなかったというのも少なからず関係しているが、クラスメイトの男子達とは挨拶を交わす程度で、穏やかで心優しい父親以外、男性という生き物を自分の世界に入れてこなかった。

ㅤそんな父と二人で生きてきて、今年で18年になる。

ㅤ学生の頃はバイトを禁止されていたが、高校はついこの間卒業した。父は大学まで行かせたがっていたが、高校まで通わせてもらった事に感謝しているし、少しでも父の負担を減らしたくて、私は就職する道を選んだ。

ㅤ父は渋々といった感じで認めてはくれたが、正直今でもあまりいい顔はしていない。

ㅤ私自身、父に依存している節があるが、どうやら父もこの18年間で過保護を拗らせてしまったらしい。



──そんな心配性な父が、とある仕事の話を持ち掛けてきた。

ㅤそれは、とある男の子の世話をしてほしいという話だった。その男の子は父の働いてる会社の社長の息子で、今年中学生になったばかりの12歳。

ㅤ何でも少々引っ込み思案な節があり、あまり歳の離れていない人とコミュニケーションをとらせる事で、人付き合いに慣れさせようという魂胆らしい。

ㅤ私としては6つでも十分離れていると思うが、父が職場で私についての相談……という名の親馬鹿っぷりを露呈したところ、偶々近くで聞いていた社長にこの話を持ち掛けられたという。



『実際のところ決めるのは真自身だよ。嫌なら断ってくれて構わない』



ㅤ父はそう言ってはいたが、私は会社の重役直々に頼まれた父の立場を考えると、少々断りづらいのではないかと考えた。

ㅤそれに高校を卒業したばかりで、就職するという漠然とした目標しかなかった私からすると、不思議とこの話から何か運命的な物を感じていた。


/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp