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SAOGs

第21章 第31層~第40層 その3 "喧嘩花火"


こちらから攻めるのも、防御のみをするのも、今に至っては悪手であるとジンは感じていた
では諦めるのか―否、ここで死ねない
それだけの気持ちを奮い立たせて、ジンはヴィルヘルムと対峙する

「ほう…やっとやる気になったかよ!!」

数撃の後にも関わらずまだ立っている
その事実にヴィルヘルムは喜びを感じたのをジンは分かっていた

獰猛などという言葉では足りない程の危険性を遺憾なく全面に発揮するヴィルヘルム
対峙はした、しかしまともに戦うつもりは毛頭無い

(全力で逃げれば勝ち目はある…だがその為には…)

全力で攻め続けなくてはならない
今一度、目の前の白面に立ち向かう覚悟を決めるジン
その覚悟を決めたせいか、先程のような焦りに似た危機感は感じなかった
むしろ一周回った落ち着きが沸いて出る
これは無謀の類ではない―何故だかジンはそれが確信出来ていた

「オラ行くぜぇ!!」

嬉々としてジンに振るわれるヴィルヘルムの拳
型だとか、そんなものは存在しないただの暴威
それらをただ落ち着いて――見切る

右に跳躍した事で回避した拳は地を穿ち、土を空へ舞わせる
その瞬間にジンは自身の両手剣をヴィルヘルムへ突き出す
ヴィルヘルムはさも当然のように片手で受け止める―が、ジンは二度も驚かなかった
ブーストをかけた拳を剣の持ち手にぶつける

ヴィルヘルムの考えていなかったベクトル
急激に押し出されたジンの両手剣はヴィルヘルム手を抜け、彼の喉に突き刺さった

「―――」

一瞬、ヴィルヘルムの中を通っている空気が途切れる音をジンは確かに聞いた

(このまま押し込む――)

一気に剣をヴィルヘルムに押し込んで勝負を決めようとしたジン
しかし、彼の予想は簡単に裏切られた
喉に剣を受け、少なからず力が抜ける筈のヴィルヘルムの身体が動き、ジンの剣を逆に押し戻し始めたのである
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