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SAOGs

第21章 第31層~第40層 その3 "喧嘩花火"


何を言いたいのかジンには分からなかった
分かった事は唯一、モンスターなどどうでもいいという目の前の男の観点だけである

「っつー訳でだ、テメェの実力ってのを測らせてもらおうか」

「オイお前何を―」

理解を越えて勝手に話を進める男に困惑するジンの眼前にウィンドウが現れる
デュエルの申し込みであった

「本来ならこんな面倒な真似をするつもりはねぇが命令は命令だ、仕方ねぇ。ルールは簡単、半分までぶちのめした方が勝ち。得物は互いに一つ、コイツだけだ」

そう言って男は拳を作る
つまり、格闘のみで勝負をしようという訳だ
だがジン本人に、目の前の男と戦う理由はないしその気は無い

「馬鹿か、お断りだ」

それだけ言って"NO"のボタンを押す
いよいよこの男が何をしたいのかが分からなくなってきたジンは、これ以上関わり合いになりたくないとばかりに男に背を向け、その場を去ろうとした

「ククク…そうかいそうかい」

男はそれにも関わらず静かに笑う
早く彼の前から消えようと、ジンは足をはやめようとした
その瞬間―

「だったら話は早ぇよなァ!!」

―自身の背後で殺気が爆発した
それを感知したジンは寸での所で、剣を盾のように構えた
視界に入ったのは拳―斜めから振り下ろされた男の拳だった

「ぐぅ、うおっ!」

剣の腹に拳は命中
しかしその衝撃は半端ではなく、ジンの身体は真後ろへ吹き飛ばされる
この世界に来てから余りなかった地面を転がる感覚
ただそれだけで、ジンの頭に危険信号が灯る

「お前…どうやったらそんなステータスになる…」

呟くような疑問
体勢を直し、改めて対峙した相手に異常さをジンは感じていた

「まぁちょいとワケありなんだが…そんな事よりもだ、やるんだろ?何も無しの喧嘩ってのをよ!!」

言葉と共に殺気が更に膨れ上がる
その状態―殺す気でかからなければ死ぬという事を理解するには十分だった

「聖槍十三騎士団黒円卓第四位、ヴィルヘルム・エーレンブルク=カズィクル・ベイだ。名乗れよガキ、戦の作法を教えてやる」
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