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SAOGs

第6章 第1層~第10層 その5 "天才"


迷宮区内部―
シモン達の一団はボス部屋の場所を探していた
第二層でシモンを助けた面子と別れた後、程無くして迷宮区への入り口を発見―既に数階は登っている

シモンを先頭にキタン、ヨーコと続く集団は、時折襲い来る敵を払いながら少しずつ進んでいく
その勢いは落ち着いてはいるものの、一度沸き上がれば大きな炎となりえるものを孕んだ落ち着きであった

その中で一人―ヨーコのみ神妙な表情をしていた
正確には考えていた

「オイ、オマエどうした。何考えてやがる」

故に隣の黒装束―キタンから急に声をかけられ、更には考えているとまで当てられた事に少し驚いたのである

「さっきの人達なんだけど…ちょっと気になる事があって…」

「気になるだぁ?」

先の七人、キタンも覚えてはいるが特に気になる事情は感じられなかった
いや、ヨーコの方が少しばかり鋭いと言った方が良いかもしれない

「弓使いの子がいたでしょ。私の直感だけどあの子…まぁテスター的な生活してないからってのを差し引いても…多分弓、向いてないよ」

それはただの直感―しかし、ヨーコにとっては経験から来る直感であった
VR技術が出る前、そして出た後も幾度となくFPSに参加したヨーコにとってはよく分かる

あの弓使い―エリーと呼ばれていた少女はVRMMOにとっては致命的になりかねない"体型を無視した武器"を扱っている
多少のシステム補正はあるとは言え、基本は自身の肉体感覚で動かしている―という事は自身の体型と釣り合わないと、いつまでも自身に嵌まった戦いが出来ない
そしてそれを抱えたままの戦いは非常に危険で、この世界では本当に命に関わる

しかしながら、あのエリーという少女は自身の身の丈には不釣り合いな弓を使っている
一体何故…と先程から悩ませていたのだ


「皆!」

幾度目かの思考に入ろうかという時、シモンの声が響きそれを中断させた

「…見つけたぞ」

彼の視線の先、そこには大きな扉―ボス部屋への扉だ
しかし、雰囲気がいつもと違う
扉の意匠がこれまでと異なっている
暗い筈の扉は妙に色が付いていて―

「なんだ…これ…」

全員、困惑するしかなかった
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