第5章 episode 4【ルイ】〜出会い〜
プリンセスに選ばれてから数日が過ぎた頃、ルリーはジルの執務室に呼ばれた。
「基本的なマナーは一通りお教えしましたので、そろそろダンスのレッスンに入りたいと思います」
「ダンス…ですか…」
一般市民であったルリーは今までほとんどダンスをしたことがなかった。
自信の無さから、すこし顔を陰らせていると、
「気にすることはありませんよ、そのためのレッスンですから」
ジルはそう告げると、柔らかく微笑んだ。
(っ……ジルにはなんでもお見通しなんだ)
そのまるで自分の全てを見透かされている様な笑顔に、ルリーはくらっ、と眩暈を覚えた。