第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
その時だった。
エリアーデの瞳が見開かれる。
ほとんど蒸発したクロウリーの身体が、干枯らびながらなお動いていた。
薄皮のようになった身体が、最後の力でエリアーデへ迫る。
「っ……」
エリアーデは反応出来なかった。
クロウリーは、彼女の首元へ噛み付いた。
「――ぁ……!」
エリアーデの身体が震える。
「なんだ……まだ……動けたの……?」
クロウリーは何も答えない。
ただ、静かに彼女を抱き寄せる。
エリアーデの瞳は、泣きそうだった。
「あなたを……」
震える声。
「愛したかったのにな……」
その瞬間。
エリアーデの身体が、光の粒になって崩れていった。
淡い輝きは、壊れた窓から吹き込む風に乗り、雪のように舞い散る。
やがて。
その光も、静かに消えた。
部屋には、風の音だけが残る。
クロウリーは、その場へ膝をついたまま動かなかった。