第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
「こんばんはァ」
クロウリーが妙に丁寧に挨拶する。
「私は忙しいんだ。離せや」
その瞬間。
がぶっ。
「えっ」
クロウリーが、アレンの左手へ噛み付いた。
沈黙。
「アレン!!」
私は反射的に駆け寄ろうとする。
けれどラビが先に動いた。
「わーーっ!! アレン!!」
本気で焦った声。
その瞬間、クロウリーの動きが止まる。
「…………」
顔色が変わった。
「げぇぇぇぇぇぇ!!」
突然盛大にえずき始める。
「苦い!! おうぇぇぇぇ!! 洗面器!! 洗面器どこォ!!」
「えぇ……」
私達が固まる中、クロウリーは口を押さえたまま猛スピードで逃走した。
「待て!!」
ラビが叫ぶ。
しかしクロウリーは凄まじい速度で城の奥へ消えてしまう。
静寂。
残されたのは、呆然とする村人達と、噛まれたアレン。
「アレン! 大丈夫!?」
私はすぐアレンの傍へ駆け寄り、左腕の傷を確認した。
アレンは少し驚いたように目を瞬いたあと、困ったように笑った。
「た、多分……」
けれど、村人達はじりじり後退っていた。
「か、噛まれた……」
「吸血鬼に……」
「まさか……」
アレンがその視線に気付いて、苦笑する。
「いや、そんなに不安そうに見ないでください……」