第6章 ノーサンクス・スイートハート
「いやいやいや、こわいってば。なに」
「お茶会と称した報告会です」
「貴族か!それに黒尾さんまでいると思わなかった」
「俺のことはお気になさらず。どーぞどーぞ、思う存分女子会楽しんじゃって」
「電柱みたいな大男を気にしない人なんていませんから」
嫌味を飛ばせば、出た花衣の毒舌〜。なんて腹立つほど綺麗に口角をあげた黒尾さんの隣、カフェオレ頼んどいたからねーってマイペースに笑う理子がラインを寄越したのはつい数十分前。
駅前のいつものカフェにいるからって、簡素な文字につられて来てみれば、大男と小人が並んで談笑中だった。
2人ほぼ同時に私を見つけた時の表情にぞっとして、きっとあの夜のことを聞き出すつもりだろう開催されたお茶会とやらは、ただの私の羞恥プレイだと言うことはご存知だろうか。目は口ほどになんちゃらの典型だよこの人たち。
「で?で?どうだったの!こないだ」
「普通にタクシー乗って家まで送ってもらったよ」
「で?」
「え?」
「………」
「………」
「花衣ってばほんっとつまんない!」
あからさまに肩を落として唇を尖らせる理子さんには非常に申し訳ないんですが、表紙だけ見て面白そうだと思い込んで購入した少女漫画が、なんか思ってたのと違う、みたいな溜息やめていただけないでしょうか。
私は少女漫画の主人公ではないし、あなたは読者でもないんです。お願いだから仕立て上げないで。そしていつぞやのカフェでの再現もやめて、既視感はんぱないから。
笑ったり落胆したり表情がころころ変わる彼女を見るのはもう慣れっこだ。だけど隣の黒尾さんにはそんな彼女が新鮮なのか、見た事もない顔で理子を見つめているからそっちの方が気になって仕方ない。