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Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】

第4章 スタディ・ステディ



「今日餃子?」
「うわぁっ!?」
「声がでかいて」
「びっっくりした、……え、何、何してんの」


好きな香りを存分に吸い込んで、思わず体を揺らしたくなるような音楽。エンジンさんの、こっちまで釣られて笑いたくなるような声と、控えめな扉のスイングベルの高音。そこに混じるザンカくんの落ち着いた低い声は、そのどれもがDahliaの特権だと思う。

そんなわたしの癒し空間、ではない場所で、しかも耳元で、ダイレクトに低い声が聞こえたらそりゃあ声もでかくなるよ。
因みに今のBGMは生活感の塊のような、タイムセールの呼び込み音だった。


「あんたと一緒、かいもんじゃ」
「今日休み?」
「開いとるよ、ペーパー切れそうやったけぇ、それだけ足しにな」


で?今日餃子?わたしのカゴに視線を落としてそう問うザンカくんは、剥き出しのペーパーナプキンを脇に抱えてる。食材を見て予想するあたり、きっと彼も普段からそこそこまめにキッチンに立っているのか、似合いすぎるその姿を想像してしまった。

イケメンは何しても様になる、うん、優勝。


「これは明日の分、今日休みだから作り置きしとこうと思って」
「一人暮らし、よな?」
「そうだよー、誰もやってくれないから自分で作って自分で全部食べるの」
「最高の贅沢じゃのぅ」
「でしょ?」


最高の贅沢。そう思えるようになったのは、つい最近、ほんの数ヶ月前からだ。
それまでの数年は2人が常。食材も食器も洗濯物も。普通になっていたものがある日突然欠けると、例えばそれが自分の意思だったとしても、慣れるのには時間がかかる。

0へリセット、1からスタート。虚無感にも似た感情に危うく飲み込まれそうになっても、脳が快適だと判断すれば、それはわたしの中だけの天国になった。一人暮らし最高、もう誰とも一緒に住みたくない。
恋愛?ないない、ありえない。老後寂しいのは嫌だから、友人枠なら増やしてもいいかもだけど。



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