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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第6章 新たな日々、非合理的な感情


時間が止まったようだった。
何も起こらない。
ただ、相澤の指が掴んだ手首の感触だけがやけに生々しい。

恐る恐る顔を上げると、鋭く、けれどどこか迷いを含んだ視線がぶつかる。

相「…男をそう簡単に家に入れるな。何されるか分からないぞ」

低い声。
叱るようでいて、どこか自分に言い聞かせているようだった。

「……っ」

熱が上がる。目を逸らしたくても逸らせない。

相「…そんな顔で見るな」

掴んだ手首に、無意識に力が入る。
相澤はそれに気づいて、はっとして指を緩めた。

相「……悪い」

「あ、いえ…!」

慌てて俯くと、少し間があって。

相「……また明日な、」

名前を呼ばれた瞬間、胸がぎゅっと縮む。

「…はい」

相「水、ありがとう」

それだけ言って、相澤は背を向けた。

バタン、と玄関が閉まる音。
はその場に座り込み、しばらく立てなかった。

⸻

相「……はぁ」

タクシーに戻り、深く息を吐く。

相(何やってる)

腕を掴んだ感触が、まだ指に残っている。
抱き寄せなかっただけ、理性は働いた。
だが――気づいてしまった。

が無防備すぎるのが、気になる理由。
危なっかしいからじゃない。
守る立場だからでもない。

相(……惹かれてる)

認めた途端、胸の奥が重くなる。
教師で、同僚で、年の差もある。
合理的じゃない。

それでも。
努力を惜しまないところも、芯の強さも、ふと見せる隙も――全部が目に入る。

ピロン、とスマホが鳴る。

〈今日はありがとうございました。また連れて行ってください〉

相澤は、思わず口元を緩めた。

相(……まずいな)

そう思いながら、明日を待ち遠しいと感じている自分を、否定できなかった。
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