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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第5章 ギルデロイ・ロックハート



「……ところが、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは、私の“ひそかな大望”を知ってましたね!」


びくっ!と、ハーマイオニーの背筋が弾けたように伸びた。


「この世界から悪を追い払い……そして、ロックハート・ブランドの整髪剤を売り出すことだと!」


(え、ええぇ……!?)


チユは今度こそ羽根ペン落としそうになった。
なんというか、ツッコミが追いつかない。

ロックハートは満足げに答案用紙を裏返し、声高に言った。


「満点です!ミス・ハーマイオニー・グレンジャーはどこにいますか?」

ハーマイオニーは、まるで選ばれし勇者のようにすっと手を挙げた。
チユは思わずとなりのハリーを見る。

彼はじっとロックハートをにらみつけていたが、その表情にあるのは怒りではなく――諦めの色だった。


「すばらしい!」


ロックハートが満面の笑みで手を叩いた。白く輝く歯が、妙に教室の明かりを反射している。

「まったくすばらしい! グリフィンドールに――そうですね、10点あげましょう!」


ハーマイオニーは机の上で指を組んだまま、さらに頬を紅潮させた。

チユは、何とも言えない表情でその様子を横目に見る。
自分の尊敬する人が、こうもペラペラと賞を自分で読み上げたりしてたらどう思うのだろうか――いや、リーマスなら……絶対にしないか。


「では、授業ですが――」


ロックハートが机の裏にかがみ込み、大きな布をかぶせられた何かを引きずり出してきた。
重そうなかごだった。
がしゃり、と机に乗せられるたび、教室にどよめきが走る。


「さあ! 気をつけて!」


ロックハートが片手を高く掲げる。「魔法界の中で最も汚らわしい生き物と戦う術を授けるのが、私の役目です!」


チユの隣でロンが、「えっ、そんなの、いきなり出すの……?」と小声で言った。

「この教室で君たちは、これまでにない恐ろしい目にあうことになるでしょう!」


チユはかごをじっと見つめながら、背中にうっすらと汗をかいているのを感じた。
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