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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店



「……じゅうに、ふくろう……?」
チユが首をかしげると、ジョージがすかさず補足した。

「『フクロウ』ってのは、15歳になる年に受ける統一試験のこと。正式名称は普通(O)魔法(W)レベル(L)試験――頭文字を取って、O・W・L、つまり“フクロウ”さ」


「そんなにいっぱい、試験があるの……?」
チユは不安になった。いずれは自分も受けなくてはならないのだ。


「ビルも12だったな」

フレッドが枝を投げながら言った。
「この家からまた首席が出たらどうすんだよ。俺、恥ずかしくて生きていけねえ」


ウィーズリー家の長男、ビル。
まだ会ったことはないけれど、話には何度も聞いていた。
現在はエジプトで、魔法使いの銀行グリンゴッツに勤めていて、呪われたピラミッドを調査しているらしい。

次男のチャーリーとは、ノーバートを秘密裏に輸送するために、チユもこっそり手伝いに行ったあの夜、1度だけ会っていた。

あのときのチャーリーは、頼もしくて、でも優しくて、ドラゴンを語るときの目が子どもみたいに輝いていたのを、チユは今でも覚えている。



「……それにしても」


ふいに、ジョージが静かな声で呟いた。「パパとママ、どうやって学用品をそろえるお金を用意するのかな」

「ロックハートの本、5人分だぜ?」

フレッドが顔をしかめる。「しかもジニーは今年が初年度だ。ローブに杖が必要だ…」


チユはそっと唇を噛んだ。


(やっぱり……大変なんだ。リーマスも、そんな話は1度も口にしなかったけど……きっと無理してる)



思い返すのは、最近の手紙の端々にあった『心配しないで』『なんとかするから』といった言葉たち。


小さな胸がきゅっと痛んだ。


その横顔を隣にいたフレッドがチユを覗き込んできた。


「どうした、姫? 空腹で倒れそうか?」


「えっ、う、ううん、大丈夫……」
慌てて笑うと、ジョージが言った。


「安心しなって。うちのママはすげえからな。誰よりもやりくり上手で、しかも子ども5人分の胃袋を毎日満たしてんだぜ」


「ほんと、ママは魔法省よりよっぽど有能だよな……」
ロンが呆れたように言い、みんなが笑った。


その笑い声に包まれながら、チユはふわりと空を見上げた。
風に揺れる丘の上、笑い声と羽ばたきの音が、空高く響いていた。
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